「文明が進歩し便利なものが増え、食料もたくさんある。しかし、私たちは忙しくなり、自由な時間は少なく、不健康になっていく。」
生活習慣病や職業病、うつ、肥満、不眠症は現代病と呼ばれ、太古にはなかったとされています。
それに対し、現代医学は「何が(What)病気を起こすのか」「どのような(How)仕組みにより病気が起こるのか」を考えて対処療法を行っています。
しかし、進化医学(ダーウィン医学)では、「なぜ(Why)病気が起こるのか」を考えていきます。
つまり、どのような遺伝子を持った人が現代病になりやすく、なぜそのような遺伝子をもつに至ったか進化の考え方をベースに考えていくということです。
一見バラバラのように見える症状(肥満・うつ・慢性的な疲労感・集中力が続かない)は本質をみると同じ問題により引き起こされているのかもしれません。
すべては、私たち人類の進化と文明の進化のスピードの差が生み出したミスマッチが原因の可能性が高いのです。
下記のような症状が少しでもあると感じた方は、本記事を読んでみてください。
- 肥満
- 慢性的な疲労感
- うつ症状
- 集中力の低下
- 不眠
- モチベーションの低下
本記事で知識と対策法を増やし、最高のパフォーマンスを実現できる方が増えたら嬉しく思います。
古代と現代のミスマッチ
私たちヒト族は680万年~720万年前からいたとされている。
そして、人類は少しずつ進化していき、1万2千年前に「農業」が始まりました。
つまり、人類は600万年以上の間を「狩猟採集」しながら過ごしていたということになります。
進化とは、長い年月をかけ生存と繁殖に有利だった個体の遺伝子が自然淘汰のすえ生き残っていくものです。
600万年間という膨大な時間を考えると、1万2千年という農業の歴史はいささか短いと思いませんか?
ましてや、超加工食品(お菓子、清涼飲料水、ジャンクフード、添加物)やスマホなどが生まれたのはここ数年~数十年です。
600万年かけた進化が「農業の開始」だとしたら、ここ数十年で人類はそれほど進化できていないのではないでしょうか。
つまり、古代と現代を比較し、その差を解消することができれば現代病を解消することだできるのです。
古代と現代の差は以下のようになっています。
- 古代には希少だったものが多すぎる
- 古代には豊富だったものが少なすぎる
- 古代に存在していなかったものが現れた
それぞれ次の項目で解説していきます。
古代には希少だったものが多すぎる
現代人に多すぎるものは以下の通りです。
- 摂取カロリー
- 塩分
- 生成させた糖
- オメガ6脂肪酸
- 満腹感
- 食事のバリエーション
- 人生の選択肢
- 人口
人間が生きていくためには食べ物からエネルギーを摂取する必要があります。
太古の人類にとってエネルギーは貴重であるため、なるべくエネルギーを節約するよう進化し、狩猟採取をすることで生き延びてきました。
そのことから、狩猟採取民が常に食べるものがあり満腹だったと考えることは難しいです。
しかし、今ではどうでしょう。
スーパーやコンビニに行けば簡単に水も食べ物も手に入ります。
そんな状態にもかかわらず、太古の脳は「エネルギー(カロリー)は貴重だ。どんどん接種しろ。次はいつ食べれるかわからない」と反応してしまい肥満という現代病を引き起こしてしまうのです。
古代には豊富だったものが少なすぎる
現代人に少なすぎるものは以下の通りです。
- 運動
- 睡眠
- 空腹時間
- ビタミン、ミネラル
- 食物繊維
- オメガ3脂肪酸
- 自然
- 深い友人関係
食が多様化することで、以前まで豊富に摂取していた健康に欠かせないビタミン・ミネラル・食物繊維の摂取量が減ったのは明らかですよね。
野菜や魚の摂取量が減り、小麦や乳製品といった糖質と脂質中心の食生活となっていきました。
他にも、仕事や娯楽の多様化により睡眠時間も大きく削られる結果となりました。
また、太古の人類は限られた集団の中で親密なコミュニケーションをとりながら生活していたといわれています。
これは、仲間と協力した方が狩りの成功率が高く、繁殖にも有利だったからだと考えられます。
ここから考えると、人類は不特定多数のコミュニティーより、家族や親友のようなコミュニティーが必要だということになります。
もちろん、オンライン上でも深いコミュニティをつくることは可能ですが、家族を今以上に大切にするといった対策は効果的だと考えられます。
古代に存在していなかったものが現れた
現代人に新しすぎるものは以下の通りです。
- 超加工食品
- 添加物
- インターネット
- 慢性的なストレス
- プレッシャー
- 孤独
文明の進歩とともに人間は様々なものを開発してきました。
インターネットやスマホはそのいい例です。
また、お菓子やジャンクフードに多く含まれる添加物は人体にとって安全と保障されているわけではないものも存在します。
今まさに私たちを使った人体実験中です。
他にも、慢性的なストレスやプレッシャーは太古には存在していませんでした。
太古にあったのはケガや病気などの短中期的な炎症によるストレスだけだったからです。
孤独=死となっていた太古の人類は、孤独を感じながら生きていくということもなかったと考えられます。
文明の発展により社会は間違いなく便利なものが増えました。
しかし、私たちは忙しくなり、短期になり、自由でなくなっているのはおかしな話ですよね。
便利なものが増えたといっても要は使い方次第なのだと再確認しました。
まとめ・対策法
進化医学の観点化から健康について一言でいうと、
太古の現在のミスマッチが不調を引き起こしている
となります。
つまり、対策法としては
- 摂取カロリーや精製糖など、現在で多すぎるものを減らす
- ビタミン、ミネラル、食物繊維など、少なすぎるものを増やす
- インターネットやお菓子など、新しすぎるものとうまく付き合う
しかないのです。
何事もバランスが大切。
無理せずできることから始めていきましょう。
本記事を読んで進化医学に興味を持つ方・健康の意識が少しでも変わった方がいたら嬉しく思います。