ダイエットをする際、何を食べればいいのか迷ったらとりあえず、タンパク質と食物繊維の摂取量にだけ意識を向けていきましょう。
健康的な食事を実現するためには、タンパク質と食物繊維の役割を理解することが不可欠です。
タンパク質は身体の構成要素であり、細胞の修復や再生、免疫機能の維持に欠かせません。
また、食物繊維は消化を助け、腸内環境を整える役割を果たし、便通や血糖コントロールにも重要です。
しかし、このタンパク質と食物繊維は現代の食生活では不足しがち。
本記事では、タンパク質と食物繊維の意義や適切な摂取方法、豊富な食品源について探っていきます。
何をやっても失敗してきた、ダイエットが続かないという方は特に、タンパク質と食物繊維にだけ意識を向けてこれからの食生活を変えていきましょう。
タンパク質の重要性
ダイエット中は1日のタンパク質摂取量を体重×1.6~2g摂取することが重要です。
当ブログでは散々タンパク質の重要性について書いてきましたがそのおさらいとして、
以下に、その重要性をいくつかのポイントで説明します。
筋肉の保持と成長
タンパク質は筋肉の主要な構成要素です。
ダイエット中はカロリー制限や運動により体重が減少しますが、十分なタンパク質摂取によって筋肉の減少を最小限に抑えることができます。
筋肉を保持することは、基礎代謝を高め、脂肪の燃焼を促進する助けになります。
食欲の抑制
タンパク質は消化に時間がかかり、満腹感を与える特性があります。
複数の研究でも証明されているように、タンパク質には食欲をコントロールしやすくするという機能が備わっており、食欲とタンパク質は切っても切り離せない関係があります。
適切な量のタンパク質を摂ることで、食欲を抑える効果があり、食事の摂取量をコントロールしやすくなります。
タンパク質と食欲の関係については別記事でも解説しているので参考にしていただければ幸いです。
代謝の促進
タンパク質の消化・吸収にはエネルギーが必要です。
そのため、タンパク質を摂ることで体内の代謝が活性化されます。
タンパク質の多い食材は代謝に欠かせないビタミンミネラルを豊富に含んだ食材なども多いため、代謝の改善にもタンパク質は効果的。
食べ物を食べた後に身体が熱くなるという反応(食事誘発性熱産生)もタンパク質が最も効果的と言われています。
栄養バランス
タンパク質は他の栄養素とのバランスも重要です。
適切なタンパク質摂取によって、身体に必要な栄養素のバランスを保つことができます。
タンパク質・脂質・炭水化物のバランス(PFCバランス)に関しては別記事でも解説しているためそちらをご覧ください。
タンパク質の摂取方法
タンパク質の摂取方法は大きく3つ。
- 動物性タンパク質の摂取
- 植物性タンパク質の摂取
- サプリメントでのタンパク質の摂取
それぞれにメリット・デメリットについてもみていきましょう。
動物性タンパク質の摂取
鶏肉、魚、赤身の肉、卵、乳製品などは高品質な動物性タンパク源です。
メリット
- 高品質なタンパク源:動物性タンパク質は、体に必要なアミノ酸をバランスよく含んでいます。これにより、筋肉の成長や修復、免疫機能の強化に役立ちます。
- 栄養素の多様性:動物性タンパク質には、ビタミンB12、鉄、亜鉛、カルシウムなどの重要な栄養素が含まれています。必要な栄養素を摂取するためには動物性タンパク質の摂取が必要不可欠です。
- 満足感を与える:動物性タンパク質は、食事中のタンパク質の割合が高いため、食後の満足感を高めることがあります。また、味覚としての刺激も脳に良い印象を与え、食後の満足感が高まります。
デメリット
- 高脂肪・高コレステロール:一部の動物性タンパク質源(例:赤身肉、加工肉)には、飽和脂肪酸やコレステロールが多く含まれていることがあります。これらの成分は、心血管疾患のリスクを増加させる可能性があります。また、高脂質の食材だとその分高カロリーになりダイエットには不向きと言えるでしょう。
- 消化の負担:一部の人にとって、動物性タンパク質は消化が難しい場合があります。特に、乳製品や肉類に対してアレルギーまたは不耐症がある人は注意が必要です。
- 腸内環境への影響:動物性タンパク質の過剰摂取は腸内環境に悪影響を与える危険性が示唆されています。タンパク質を過剰摂取していて便秘や下痢が起こるという人は注意が必要です。
植物性タンパク質の摂取
大豆製品(豆腐、納豆、豆乳)、豆類(レンズ豆、ガルバンゾ豆)、穀物(キヌア、玄米)、ナッツや種子(アーモンド、チアシード)などは優れた植物性タンパク源です。
メリット
- 健康的な脂肪と繊維:多くの植物性タンパク質源には、飽和脂肪酸やコレステロールが少なく、かわりに健康に良い脂肪や食物繊維が含まれています。これにより、心血管の健康や消化システムの機能に良い影響を与えることがあります。
- 植物由来の栄養素:植物性タンパク質源には、ビタミン、ミネラル、抗酸化物質など、体に必要な栄養素が豊富に含まれています。これにより、免疫機能の強化や炎症の軽減などの健康効果が期待できます。
- 環境への配慮:植物性タンパク質の生産には、通常、動物性タンパク質よりも少ない水とエネルギーが必要であり、温室効果ガスの排出量も低く抑えられます。また、植物性食品の消費は持続可能な食事スタイルに貢献することができます。
デメリット
- アミノ酸のバランス:植物性タンパク質には、必須アミノ酸(体が必要とするが自身で生成できないアミノ酸)の組み合わせが完全な形で揃っていない場合があります。したがって、植物性タンパク質を摂取する場合は、異なる植物性タンパク質源を組み合わせることが重要です。
- 吸収性の差異:一部の植物性タンパク質は、動物性タンパク質に比べて吸収されやすくありません。これは、植物由来のタンパク質が食物繊維や他の成分と結びついていることによるものです。適切な調理方法や栄養バランスを考慮することで、吸収を促進することができます。
サプリメントでのタンパク質の摂取
プロテインシェイクやプロテインバーなどの補助食品も美味しく手軽にタンパク質を補給することができます。
メリット
- 便利な栄養補給:タンパク質サプリメントは、手軽に摂取できるため、忙しい日常生活やトレーニング中に栄養補給が必要な場合に便利です。
- 簡単なタンパク質摂取:一部の人にとって、食事から十分なタンパク質を摂取することが難しい場合があります。タンパク質サプリメントは、不足しがちなタンパク質を手軽に補充する方法として役立ちます。
- 筋肉の成長と修復のサポート:タンパク質は筋肉の成長と修復に重要な役割を果たします。タンパク質サプリメントは、トレーニング後や筋肉の回復をサポートするために、タンパク質の摂取を増やす手段として役立ちます。
デメリット
- 栄養バランスの偏り:タンパク質サプリメントの摂取によって、他の栄養素の摂取が不足する可能性があります。タンパク質のみに頼るのではなく、バランスの取れた食事を心がけることが重要です。
- 過剰摂取のリスク:過剰なタンパク質摂取は、腎臓への負担を増やす可能性があります。特に、既に腎臓の問題を抱えている人や、過剰な摂取が長期間続く場合には注意が必要です。
サプリメントはあくまでも栄養補助食品です。
食事の補完として利用するべきであり、バランスの取れた食事を代替するものではありません。食事全体の栄養バランスにも注意を払いましょう。
とはいいえ、忙しい方や、食材から栄養を取り切れないという方は補助としてサプリメントを使用していきましょう。
食物繊維の重要性
食物繊維は、健康的な食事において重要な栄養素で、以下に食物繊維の重要性をいくつかのポイントで説明します。
消化を促進
食物繊維は消化管を通過する際に水分を吸収し膨張するため、腸内での便のかさを増やし便通を促進します。これにより、便秘の予防や改善に効果的です。
血糖コントロール
食物繊維は消化吸収が遅く、血糖値の急激な上昇を抑える効果があります。食事中に食物繊維を摂取することで、血糖値の上昇を緩やかにすることができます。
コレステロール管理
水溶性の食物繊維は、腸内でコレステロールを吸着し排出する働きがあります。このため、適切な食物繊維摂取によって、血中のLDLコレステロール(悪玉コレステロール)の低減や心血管疾患のリスクの低下が期待されます。
満腹感の提供
食物繊維は低カロリーでありながら、満腹感を与える効果があります。食事中に適切な量の食物繊維を摂ることで、食欲を抑制し食事の摂取量をコントロールすることができます。
腸内環境の改善
食物繊維は腸内の善玉菌のエサとなり、腸内環境を整える助けになります。健康な腸内環境は免疫機能や消化吸収の向上につながります。
食物繊維の摂取方法
食物繊維の摂取は大きく分けて2つの種類があります。それは、
- 不溶性食物繊維の摂取
- 水溶性食物繊維の摂取
不溶性食物繊維の摂取
不溶性食物繊維は、消化器官を通過する際に水を吸収せずにそのままの形で残る食物繊維の一種です。以下に不溶性食物繊維の特徴と健康への効果を説明します:
特徴は水に溶けない。硬めの食材。
不溶性食物繊維は水に溶けません。そのため、食物を通過する際に体内で水分を吸収せず、そのままの形で腸を刺激します。
身体への効果
- 便通改善:不溶性食物繊維は、腸内の排便を促進し、便通を改善する効果があります。食物のかさ増し効果によって腸の運動を刺激し、便のかたちや量を正常化することができます。
- 全体的な消化器の健康:不溶性食物繊維は、腸内の善玉菌の増加を促し、腸内環境を改善する助けになります。これにより、炎症や病原体の成長を抑制し、消化器の健康をサポートします。
- 血糖値管理:不溶性食物繊維は、食後の血糖値上昇を緩やかにする効果があります。食物の消化と吸収のスピードを遅くすることで、血糖値の急激な上昇を防ぎます。
- 心血管の健康:不溶性食物繊維は、コレステロールの吸収を抑制し、心血管疾患のリスクを低減する可能性があります。
一般的な不溶性食物繊維の源としては、全粒穀物(オートミール、玄米など)、野菜(ブロッコリー、ニンジンなど)、果皮(リンゴの皮など)、種子(チアシード、亜麻の種など)などがあります。
おすすめの不溶性食物繊維としては、
これらの中から好きな物を食事の中で取り入れていきましょう。
水溶性食物繊維の摂取
水溶性食物繊維は、水に溶ける性質を持つ食物繊維の一種です。以下に水溶性食物繊維の特徴と健康への効果を説明します:
特徴は水に溶ける。ねばねば食材。
水溶性食物繊維は、水や液体に溶けやすい性質を持っています。これにより、食物繊維が水に膨らみ、ゼリー状の粘性を帯びることがあります。
身体への効果
- 血糖値管理:水溶性食物繊維は、食後の血糖値上昇を緩やかにする効果があります。消化過程で糖の吸収を遅らせ、血糖値の急激な上昇を抑えることができます。
- コレステロール管理:水溶性食物繊維は、腸内でコレステロールと結びつき、その排出を促すことがあります。これにより、血中のLDLコレステロール(悪玉コレステロール)を減少させ、心血管疾患のリスクを低減する効果があります。
- 便通改善:水溶性食物繊維は、腸内の水分を吸収して膨張し、便のかさを増やすことで便通を促進します。また、腸内の善玉菌の増加を促進し、腸内環境を整える効果もあります。
- 食事の満腹感:水溶性食物繊維は、水と結びついて膨らむため、食事中に摂取すると満腹感をもたらすことがあります。これにより、食事の量を調節し、過食を抑える助けになることがあります。
水溶性食物繊維の主な源は、オーツ麦、大麦、海藻、リンゴ、キヌア、オクラ、レンズ豆、チアシードなどです。
おすすめの水溶性食物繊維としては、
- 海藻類(ワカメ・ひじき)
- 根菜類(こんにゃく・長いも)
- キノコ類(椎茸・マイタケ・しめじ)
現代人は食物繊維の摂取が不足しがちといわれているので意識的に摂取していきましょう。
また、食物繊維はサプリ等でも摂取できるので、食材からとり切るのが難しいという方はサプリ等を検討していくのも良い選択肢かと思われます。