ダイエットを始めると「お米を食べない」「炭水化物を控える」などをする人が多くみられます。
最近では、ダイエット情報が多く出回る中で、糖質制限・ロカボダイエットがはやり炭水化物・糖質がさらに悪者扱いされるようになってきました。
確かに、複数の研究をみるに、過剰な糖質摂取が肥満と相関があるのは明らかです。
海外で行われた研究の多くには糖質制限の有効性が示されていますし、日本人でも糖質制限で痩せたと言っている人は多いです。
とはいえ、糖質制限を行った日本人の中には「糖質制限で体調を崩した」「リバウンドして逆に太った」というような人も多いのではないでしょうか。
その原因は、日本人と海外の人では体の構造が違うから。
人によって身体の構造は様々。特に、昔から糖質主食の食事をとっていた日本人と、肉食中心だったアメリカ人では消化酵素や腸内環境が異なるのは当たり前のことです。
今回は、そんな日本人ダイエッターと炭水化物の関係について解説していきます。
※今回紹介する海外の人の基準は研究論文の発表が多いアメリカ人とします。
日本とアメリカの違い
まず、日本とアメリカの違いについてみていきましょう。
食文化を語るうえで必要になってくるのが国の成り立ちや歴史。
アメリカは紀元前1万年まえより、多くの先住民が住んでおり様々な部族が土地の性質や気候に合わせて生活していました。
アメリカの広大な土地には多くの動物が生息しており、もともとの食生活は穀物ではなく肉食。その後、アメリカには多くの入植を繰り返し、多民族国家になっていきます。
多様な民族が移民してくることによって国は発展していき、様々な国の食文化が融合し今の形となっていきます。
もともと多くの民族からなるアメリカ人にとっては、変化を恐れず様々なことを吸収して生存するという進化を遂げてきたように思います。
一方、日本は小さな島国であることもあり、他国の侵入が難しかったという背景があります。
縄文時代は狩猟採取して育ってきた日本人ですが、アメリカとは違い土地が小さく限りがありますから、食料となるのは動物より魚。基本は根菜や果実などだったと考えられます。
そして、食糧問題も関与してそれほど人口を増やせず発展は遅い方でした。
日本の食文化に大きな影響が表れたのは弥生時代に伝わってきた稲作。
稲作が伝わったあとは狩りよりも稲作を中心に行うことで安定した食料を手に入れることが可能となり、人口が増加。日本の発展につながりました。
日本では古くより幾度も肉食を禁ずる法律が施行され、タンパク質源は魚や大豆からがメインだったといわれています。
日本人は他の民族から新しい物を吸収するよりも、今あるものを守り抜くようにして生存するように進化してきたようですね。
このように、日本とアメリカを比較すると、食文化や生存方法、考え方が異なっているということがわかりますね。
各区にの平均的なPFCバランスで比較してみると、
日本 P:F:C=1:3:6 アメリカ 1:4:5
日本人は炭水化物が多い アメリカは脂質が多い という事ですね。
この章をまとめるとこんな感じ。
- アメリカは他の民族から吸収して進化
- 日本は今あるものを守り抜いて進化
- アメリカは広大な土地を利用した肉食
- 日本は限られた土地を生かした稲作
- アメリカは脂質が多め
- 日本は炭水化物が多め
日本の主食は炭水化物
日本人の我々は食事全般の事をご飯と呼びますよね。
一方、アメリカでいう食事はmeal(ミール)と呼ばれ、その語源はmeat(肉)という説があります。
このことからもわかる通り、
日本の食事=ご飯(炭水化物中心) アメリカの食事=ミール(肉食中心)。
日本人は今までお米という炭水化物を主食として長く生活してきました。
1960年代ごろまでは8割近くも炭水化物からエネルギーを摂り、1980年代になっても炭水化物の摂取量は6割近く。
摂取カロリーの大部分を炭水化物から摂取していた日本人ですが、肥満者の数は少なく、肥満者が激増し社会問題になってきたのは1900年代後半から2000年代にかけてなんです。
このことからわかる通り、炭水化物の摂取が原因で肥満が増えているとは考えにくく、
むしろ、炭水化物の摂取割合が落ちて、脂質が多い欧米よりの食生活になったことによる肥満率増加の方が可能性として大きそうです。
もちろん、砂糖などの単純糖質による糖質摂取は肥満の原因になる可能性は高いですが、お米などの複合糖質は肥満との相関はないことが歴史をみると明らか。
もし、お米が肥満の原因になるなら炭水化物の摂取割合が多かった昔の人は皆肥満ということになってしまいます。
これまで日本人が主食として食べていたのは炭水化物であり、脂質やタンパク質ではありません。
もしあなたが脂質にうまく対応できる欧米の遺伝子を持っているなら話は話は別ですが、炭水化物をうまく使って生き抜いてきた純粋な日本人なら、糖質制限が身体に合わないというのは納得できますよね。
結局はバランスが1番です。
炭水化物も脂質もタンパク質もバランスを意識して適量食べることを心がけましょう。
肥満率の増加の背景に関しては厚生労働省のページをご参照ください。
日本人特有の腸内環境
健康やダイエットを考えた時、腸内環境がとても重要になるというのは周知の事実。
腸内環境を整えようと、食物繊維や発酵食品を多くとっている人も多いと思います。
ですが、日本人は海外の人と比較して特有の腸内環境を持っていると知っていましたか?
日本人はアメリカ人と比べて、柔らかく長い腸を持っているといわれています。
その理由は簡単で、今まで食べてきたものが異なるから。
動物性タンパク質と脂質が多い食事に適した硬く短い腸を持つアメリカ人。
繊維質が多く、炭水化物が多い食事に適した柔らかく長い腸を持つ日本人。
これらは各栄養素をどのように消化・吸収するかによって異なり、遺伝子レベルで決まっていると言えます。
また、日本人の多くは乳製品に弱い人が多いですが、海藻類をうまく消化することができるという特徴も持っています。
考えれば当たり前で、海に囲まれた日本人は海藻をうまく消化できますが、摂取量が少ない乳製品からとる栄養はそこまで重要ではなかったんです。
実は海藻類を消化吸収できる民族は珍しく、日本人が持つ素晴らしいメリットと言えます。
逆に、日本人は乳製品やグルテンに耐性がない人が多い。
つまり、海外の研究で優秀と示された食材だとしても、日本人の腸内に合っていてしっかりと消化吸収できるかどうかはわからないということですね。
結局は自分で試して、身体に合っているかをはっきりさせるのが1番というわけです。
理想の食事バランスは?
ここまで、海外と日本人では体の構造、特に腸内環境が異なっているとお話してきました。
まとめると、
- 日本人は炭水化物をうまく消化吸収できるが、動物性タンパク質と脂質は苦手
- 海藻類をうまく消化できる代わりに乳製品やグルテンは苦手
- 個々の腸内環境によって得意な栄養素は異なる
海外の研究では糖質制限などのダイエット法が有用だと示されているようですが、実際に日本人全員に適合するかは疑問が残る。
本来の日本人の生活を考えるに、炭水化物を知ったりと摂取していた方が本来のパフォーマンスを発揮できるのでは?と考えられるわけです。
とはいえ、ダイエット中にタンパク質が必須というのも事実なんで、最後にダイエット中の理想のPFCバランスについて紹介します。
結輪
- Pタンパク質:30~40%
- F脂質:20%
- C炭水化物:40~50%
脂質の摂取量は控えめにしつつ、炭水化物とタンパク質を積極的に取るというのが日本人にとってフィットする可能性が高いバランスかと思います。
個人的にはP:F:C=3:2:5にしていくのが運動パフォーマンスも落ちずストレスもかかりにくいので気にっています。
皆さんも自分にあったPFCバランスを見つけ、無理せず楽しくダイエットを継続させていきましょう。