仕事で疲れた時やストレスがかかる時、甘い物が欲しくなる人は多いと思います。
ストレスに対して甘い物で解消するという対処法、本当にあっていますか。
甘い物で一時的に快楽を得られるのは確か。
あなたも、甘いスイーツや甘い飲み物を食べた時、いつもより気分が良くなり、ハイテンションになったことありませんか?
この現象はシュガーハイとも呼ばれ、甘い物は気分を左右すると考えられているわけです。
シュガーハイは本当にある?メリットは?などなど疑問が残るのも確か。
結論から言うと、シュガーハイなんて存在しないん・甘い物は短期的メリットはあっても中長期的に見るとデメリットしかないとされています。
今回は、ストレス対策で甘い物を食べるのはアリ?という疑問を研究論文をベースにして解説していきます。
シュガーハイは存在しない
砂糖などの甘い物で気分が改善するというのは体感的にはありえそうな話。
脳も糖をエネルギーにして活動していると知られており、これを考えると糖分摂取によるメリットはあると考える人も多いでしょう。
しかし、2019年に発表された論文によって結論が出ました。結論から言うと、
- 砂糖による気分改善効果はなし
- 砂糖を摂って1時間ほどすると集中力が低下する
- 砂糖を摂って30分後になると疲労感が増す
となっています。いずれにしても、糖分によるシュガーハイのような現象は確認されず、集中力低下・疲労感増大など、デメリットが大きかったとか。
この研究の結論
糖の摂取は気分にほぼ影響を与えず、糖分を摂取することで集中力低下し疲労感増大することがわかった。つまり、シュガーハイと呼ばれる現象は迷信にすぎない。
また、糖分の摂取量が多すぎることで肥満や糖尿病、メタボリックシンドロームなどになりやすいという研究は複数存在するため、気分転換のためにわざわざ甘い物を食べるという選択肢は適切ではないでしょう。
もちろん、糖分も立派な栄養素。自分の必要量の範囲内で楽しんでいただければよいかと。
ストレスや疲労の対処法としての糖分は過剰摂取に繋がりやすいため注意が必要ですね。
甘い物の幸福は一時的
シュガーハイと呼ばれる現象は迷信だと結論図けられましたが、甘い物を食べて感じる、あの主観的幸福感はどこから来るのでしょう。
それは脳が感じる報酬系。ホルモンによるもの。
人間は糖からエネルギーを創り出します。(糖分=即時的なエネルギー)
大昔はそもそも食料が少なく、積極的にエネルギーを探す必要があります。
そこで、進化の歴史の中で、糖分を感じると脳の報酬系が反応し、「近くにエネルギーがあるぞ。もっと糖分を摂取しろ」とモチベーションを高め、エネルギーを蓄え生き延びることに成功しました。
つまり、糖分摂取→報酬系が反応→快楽を感じモチベーションアップ→エネルギーの蓄積
このように、甘い物の快楽は一瞬。
快楽が長続きしてしまっては「エネルギーはもういらない」と感じ生き延びることができなかったからでしょう。
現代人はこの一瞬の快楽を「ストレス解消」「疲れが吹っ飛んだ」などと勘違いしているようですね。
上記の研究論文でも明らかになっている通り、糖分摂取の30分後には疲労感が増し、1時間後には集中力が低下した。糖分摂取が長期的な効果を持たないということがわかるでしょう。
実際、疲れやストレスがかかっていない時でも甘い物を美味しく感じますしね。
ストレスや疲労によりホルモンバランスの異常で脳が快楽を求めやすくなっているだけでしょう。
それについては別記事でも解説しているので参考に。
中長期的にはデメリット
ここで甘い食べ物飲み物のデメリットについてもみていきましょう。
複数の論文で信憑性が高い物をまとめるとこんな感じ
- 生活習慣病になりやすい(肥満・高血圧・脂質異常症)
- 免疫力の低下
- 気分不快
- 老化促進
ここでいう甘い物とは、糖質ではなく精製糖のこと。
ご飯やパンといった、でんぷん質のものや根菜・フルーツといった糖質が悪いというわけではありません。
デメリットが大きいのは、砂糖や果糖ブドウ糖液糖といった生成された糖。お菓子やスイーツによく使われる糖分です。
特に、生精度の高い糖は体内に炎症を及ぼしやすく、あらゆる不調の原因になるとも言われているため、摂取量には注意が必要です。
もちろん、完全に排除とは言いませんが、楽しみのために少量だけにしておく、特別な日だけにしておくといった対策は必要でしょう。
糖質の摂取は、ご飯や根菜・フルーツなど、伝統的な食材から摂取。砂糖の摂取は控えて、果糖ブドウ糖液糖などの生精度が高いのは排除するくらいがちょうどいいでしょう。
まとめ
最後に今回のまとめ。
- 甘い物で気分が良くなる「シュガーハイ」は迷信
- 甘い物で感じる幸福は、脳の報酬系で感じる一時的な反応
- 中長期的に見ると、精製糖のデメリットは大きい
- 糖質は、伝統的な食材から摂取し、精製糖は控える
甘い物は気分を良くする魔法の食べ物ではありません。
とは言っても、人生の満足度を上げるためにたまのご褒美に食べるというのは良い選択でしょう。
いずれにしても、「どんな食べ物でも食べ過ぎは良くない・食べなすぎもよくない」ということでしょう。
甘い物は心の栄養と割り切ってたまに食べるもよし。
心と身体のバランスをみつつ、自分にとっての適量を摂って頂ければ良いかと。